2024年 (令和6年)
4月26日(金)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 『サンタクロースってほんとにいるの?』 子どもに聞かれて、何て答えていいかわからなかったという経験はありませんか?子どもだったら、だれもが不思議に思うサンタについての疑問に、答えるお父さんとお母さん。なにげなく答えている中にも、子どもに対する愛情がよく伝わってきます。日常の親子の会話の様子が、ユーモラスな絵で表現されています。大人は、「なるほど。こういう風に答えるといいな」と、うなずいてしまう絵本です。

 サンタは、男性でなくてはいけないのでしょうか?『サンタのおばさん』 今年もクリスマスが近づいて、恒例のサンタクロースの集会が開かれますが、アメリカ支部の新しく加わった女性のサンタを認めるかどうかで、会は大騒ぎとなります。「女性がサンタになる」ことに難色を示す各国のサンタたち。世の中を反映したシニカルな発言も飛び出しますが、最後には、ほろりとするクリスマスストーリーです。杉田比呂美さんの挿絵もとても素敵です。
 サンタクロースの存在を信じる子どもの心の中の空間は、子どもが楽しく本を読むのに不可欠であり、子どもが成長する上で大きな力となる。『サンタクロースの部屋』 児童図書館員でもあり、児童文学研究者でもある著者が、今から35年も前に書かれたこの本。私にとって、教科書のような存在です。子どもと絵本の関わり。図書館のこと。お話のこと―。子どもと本との楽しい出会いを願って、情熱をそそいでこられた著者の言葉だからこそ、胸に響きます。原点を忘れてしまわないよう、何度も開きたいと思います。子どもと図書館、そして本が大好きな方へ―。 (ふ)

三冊堂120号 (2013/12/19)