2024年 (令和6年)
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 この度、幕別町図書館は、革新的な図書館支援総合システムを導入し、4月3日より実運用することとなりました。それにともない、幕別町図書館WEBサイトも、4月1日より完全リニューアルいたしました。幕別町の図書館としての役割を担いつつ、未来に向けた新しい図書館のあり方を模索し、運用方法から図書館を核とした人材交流まで、多様で重層的な試みを行ってまいりたいと思います。幕別町図書館は皆様とともに成長してまいります。今後ともよろしくお願いいたします。

なお、この度、新しく導入しましたシステムの特徴は以下の通りです。

・自治体の文書管理システム「チェンジマジック」(K-Plex Inc提供)の技術をベースに開発された、書架における棚単位の書籍の配架順まで管理可能な革新的な業務支援システムを導入した。

・バーコード、電子タグ等にかわる流通革命の基盤技術として注目を浴びる二次元カラーコード「カメレオンコード」(株式会社シフト+ワム・システム・デザイン株式会社提供)を、日本で初めて全面的に図書館業務に導入し、窓口業務と蔵書管理の効率化をはかる。

・横断検索・連想検索などの多彩な検索機能を提供し、図書館の枠を超えた、多様な“本との出会い”を利用者に提供する。

・蔵書管理データベースと連動した、インターネット上の仮想本棚作成ツールほか、図書館専用に開発された5種類の編集フォームを実装したCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を導入し、情報発信力や相互コミュニケーション力を飛躍的に向上させる。

2014年4月1日 幕別町図書館
館長 林 隆則

 

 

今回のシステム改変のねらいについて

 

長谷繁前館長(新システム計画時館長)

私が館長に就任した際に、疑問に思ったことが3つあります。
(1)蔵書点検のため8日も休館が続くこと(民間の商店なら潰れてますよね)。
(2)こんなにたくさんの本があるのに、本棚を見てもワクワクしない。本が孤独に見える(1冊1冊の本がバラバラでつながって見えない)。
(3)OPAC(オンライン蔵書目録)は、その図書館に目的の本が「あるかないか」しか教えて くれない(知りたいのは「どこで手にすることができるか」のはず)。  

 この事を、いろいろな関係者に聞いても「できない」という返事だけで、理由がわからない。そこで、従来の旧態依然とした業務システムに見切りをつけて、思い切ったシステム改変を目指したところ、それらの疑問を全て解消してくれて、さらに将来的な図書館のあるべき姿を想定できる、思い通りの図書館総合システムを構築する事ができました。

 このシステム改変を軸に、運用フロー、利用規則、デザイン計画、Web対応、人材育成まで、総合的に中長期的な視点で見直しをしています。4月1日からの新しい幕別町図書館の試みにご期待いただき、ぜひ、皆さんもご参加ください。

 

コンセプトリーダー
太田剛
/慶應義塾大学講師/編集工学機動隊GEAR代表

 今回導入したシステム群は、単に業務の効率化だけではなく、図書館が本来持っているはずの潜在能力を十分に引き出すことをねらいとしています。それは大きくわけると「本棚の力」「人材の力」「ネットの力」の3つの力といえます。この3つの力が有機的に働く事で、図書館はもっともっとアクティブな、地域文化の中心施設になるはずです。

 例えば、その象徴的なひとつが、従来の図書館業務システムで考慮されていなかった1段1段の書架の本の並びと書籍の関係を、きちんと管理することができることです。このことにより、これまでの日本十進分類法のみに頼った画一的な本の並びだけでなく、地域特性や個々の図書館のコレクションに合わせた、独自の書架構成ができ、図書館の知の編集力を高めることができます。

 「本」というのは、古今東西のあらゆる人類の英知と活動の成果が編集され、取り出し可能な形で蓄積されています。ということは、どんな人の興味や関心にも対応し、あらゆる人・物・事を結びつける媒介(=接着剤)になるはずなんですね。それらの本が連なり、響き合うような本の並び(=知の文脈)が工夫でき、それと連動した情報発信や共読環境をインターネット上で展開することで、図書館を核とした重層的な人々の交流を起こす事ができます。そのことで、図書館に関わる人材力の裾野を飛躍的に拡げたいと思っています。

 そのような試みを重ねていくことで、図書館が地域の観光情報から文化資源まで、あらゆるコンテンツの情報編集センターとしての役割を担っていく事を目指しています。その最初の事例が幕別町図書館となります。今後、この「幕別モデル」を全国展開し、日本中の図書館が地域活性化のハブ施設として活き活きと輝いて欲しいと思っています。