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図書館に勤めておいてなんですが、本を最初から最後までじっくり読み通すことが割と苦手です。ということで“読まない”三冊。まずは『読んでいない本について堂々と語る方法』。こちらは、“読んだ”の段階や本を“読んだ”事による影響、そして世界の教養人がどのようにして“読まない”で本を語ってきたのかなどが様々な名作の引用と共に論じられています。ただ。この方法を採るには教養が必要で、そのためにはある程度の読書も必要なのではと思わなくもなく……。
これの実践編、という訳ではないですが、読まずに読書感想文を書こうとする子が主人公の物語があります。『チャーリー・ジョー・ジャクソンの本がキライなきみのための本』です。本が“ゲロがでるほどキライ”なチャーリーは絶対に本を読まずに宿題である読書感想文を書くことを心に決めます。そして、その使命のためにあらゆる手段を尽くして友人から本の内容を聞き出そうとしますが、そこまでするなら本を読んだ方が早いのでは?と思わずにはいられないチャーリーの“読まない”計画。彼の行く末は、まぁ、”読んで”いただいて。
“読まない”も様々だと再認識したところで『『罪と罰』を読まない』。翻訳家と作家の4名がドストエフスキーの『罪と罰』を未読の状態でふわっとした知識と記憶を頼りに内容を考える対談本です。“読まない”といっても各部の一部を読むなど本文を若干把握したうえで推理をしています。最終的に熟読のうえ答え合わせをしますが、果たして……。“読まない”事によって“読む”とは何なのかを考えてしまう一冊かもしれません。 MCL編集部(綾)
三冊堂688(2024/11/28)