2024年 (令和6年)
7月17日(水)
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 5年に一度しか開催されない、ピアニストが目指す世界最高峰の舞台、「ショパン国際ピアノコンクール」。今年は日本の反田恭平さんが2位、小林愛実さんが4位に同時入賞する快挙を成し遂げました。
 国内外で活躍する10人のピアニストが、20世紀のピアノの名盤と自身がピアニストになるまでの軌跡について語った『ピアノへ』。1985年の第11回ショパン国際ピアノコンクールで第4位を獲得した小山実稚恵は、音楽の力を“「これだけ弾けます」ではなくて「これだけ私は感じています」を伝えること(文中より引用)“と述べています。アルフレッド・コルトーの「ショパン:ワルツ全曲&バラード全曲」、ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビュー」など、十人十色のピアノへの想いとともに紹介されているさまざまなジャンルの名盤に、心が動かされます。

 リストの温かさと格好良さ、ショパンのやるせなさ。ピアノを通して作曲家の偉大さを伝えたいと語るのは、ピアニストのフジ子・ヘミング。バーンスタインとのエピソードなど、等身大の彼女を知ることができる自叙伝『フジ子・ヘミング 魂のピアニスト』。あとがきで、“もし男に生まれていたらこれほどひどい人生を渡らなかった”と衝撃的な一文を綴っているように、その道は険しいものであったことを感じ取ります。
 スタンウェイに負けないピアノを作る。1900年の国産ピアノ第1号誕生から100年間に渡るピアノづくりに情熱を傾けた人々の姿を写しだすノンフィクション、『日本のピアノ100年 ピアノづくりに賭けた人々』。ピアノの製造には、日本の伝統的な技術と効率的な大量生産という側面を併せ持つことが必要だったそうです。世界トップクラスの製品と呼ばれるまでの道標もまた、容易いものではなかったようです。 MCL編集部(そ)

三冊堂534(2021/12/16)