にげてもいいんだよ

　世の中にはいろんな人がいて、なかには「想像力を使うのが苦手な人」がいる。そういう人は、自分のすることが相手にどう思われるかを考えることができない。そのために、人にひどいことを言ったり、ひどいことをしたりする。そんな時は、がまんせずに自分の足を使って、自分を守るために逃げること。足は「やばいものから逃げる」ためにあるのだから―。ひどいことをする人からは、逃げていい。その代わり、自分を守ってくれる人、自分をわかってくれる人を探しに行こう。私たちは足を使って動くことができる。やばい！と思ったときはすぐ動く。好き！と思ったらすぐ動く。『にげて　さがして』動き続けよう！生きづらさを抱えているすべての人に。

　「どんな紛争地でも、年間３万人も死んでいません。そんな多くの人が自殺するのは日本だけです」「学校は いじめられてつらい思いをしてまで行くところじゃない」サイバラさんの言葉が、心に突き刺さる。毎日新聞に掲載されて評判になり、オールカラーで絵本化された『いきのびる魔法』。逃げてはいけないという風潮があるこの世の中で、つらいときには逃げてもいいんだよというサイバラさんのメッセージが、ストレートに心に伝わってくる。
　作家、漫画家、精神科医など、様々な立場の方がそれぞれの思いを若者たちに伝える『「死にたい」「消えたい」と思ったことがあるあなたへ』。家族は大切にしなければダメなの？死にたいと思ったらダメ？現実から逃げたらダメ？誰にも言えない悩みを抱えていたり、どうしようもなくつらいと感じるとき、誰かの経験や気持ちを知ることで、ほんの少しでも心がラクになったり、何らかのヒントがみつかるようにという願いが込められた一冊。　 MCL編集部（ふ）

三冊堂518（2021/08/26）