2024年 (令和6年)
11月24日(日)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 かつて中学校の校長だった東昇平は、ある日同窓会の会場にたどり着くことができず、自宅に戻ってきてしまう。病院で受けた診断は認知症。長年連れ添ってきた妻と三人の娘と孫たち。家族は、日々起きる予測不能の事態に右往左往する。少しずつ記憶をなくして、ゆっくりと遠ざかっていくと言われる認知症のことを『長いお別れ』(ロンググッドバイ)と呼ぶそうだ。“長いお別れ”までの家族との日々を描いた物語。

 「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」。函館に住む妹からかかってきた一本の電話。空の巣症候群、介護、老老介護、認知症…。これから先、誰もが避けてとおることのできない現実を突きつけられる。妻の介護をする夫に、それぞれ離れたところに住む娘たち。舞台は北海道。釧路、江別、函館と、距離の遠さが物語をよりリアルに感じさせる。物語の中で、それぞれの抱えているものが解決するということはない。あちらこちらに散らばるようにして、それぞれの事情が転がり、いつしかみなその事情に足を取られながら歩いているという言葉が、胸にささる。『家族じまい』を描いた物語。

 最愛の母と過ごした最期の日々を綴ったエッセイ『いつでも母と』。認知症の症状が出始めてからの18年間を振り返る本書。老い衰えていく母に、戸惑い混乱しながらも、現実を受け容れていく様子が克明に綴られている。どんなときでも二人三脚で生きてきた母娘。「トピックス」と「トピックス」の間にある「なんでもない日」こそが、お母さんとの生活の基調だったという著者の言葉が心に響く。 MCL編集部(ふ)

三冊堂492(2021/02/18)