窓に飾った1本の豆電球コードが、『クリスマスの大そうどう』に発展していくお話です。メリウェザーさんは、お隣さんのひと言がきっかけで、イルミネーションの装飾に夢中になり、周りのことが見えなくなってしまいます。メリウェザーさんのイルミネーションは、とてつもなく有名になり、静かだった街は、多くの見物人で大渋滞。おまけに、この巨大なイルミネーションは、とてつもなく電力を食うので、近所の家のための電力はほとんど残っていなく、クリスマスのクッキーは生焼けに。カンカンに怒ってしまった近所の人たちは…。我に返ったメリウェザーさんは、大切な人たちとささやかに過ごす本来のクリスマスの意味を思い出します。風刺たっぷりの物語ですが、ラストは、作者らしいユーモアの効いた結末になっています。
大騒動の後は、静かなクリスマスのお話を。「クリスマスのことおしえて」と子どもに尋ねられたお母さんは、『馬小屋のクリスマス』のお話を語り始めます。むかしむかし、暗く寒い冬の夜、馬小屋の中で、ひとりの赤ん坊が誕生します。その瞬間、クリスマスの星が、空高く輝き始めました。馬小屋にいる動物たちや、羊飼いたちに見守られながら産まれてきたひとつの命。一面に輝く星空が美しく、静かに心に沁み入る一番最初のクリスマスのお話です。
『聖なる夜に』おきた奇跡の物語をもうひとつ。食料とたきぎにするため、アコーディオンを売って、手にしたわずかなお金をひったくりに奪われてしまったおばあさんは、雪の中で倒れてしまいます。今夜はクリスマス・イヴ。正しい行いをした者に救いの手がさしのべられる奇跡がおきる特別な夜…。雪の降る中、おばあさんを助けに来たのは教会の人形たちでした。原題は、『A SMALL MIRACLE』。クリスマスにおきた小さな奇跡が心を打つ文字のない絵本です。今夜は、素敵な時間をお過ごしください。メリークリスマス! MCL編集部(ふ)
三冊堂484(2020/12/24)