手紙。伝達手段の一つですが、電話ともメール等ともまた違う魅力がありますね。
書簡体小説、とい形式の小説があります。手紙の形式を利用してストーリーを展開させる小説の事を指します。こじらせ(?)大学院生の守田一郎が書いた手紙のみで構成される『恋文の技術』も書簡体小説の一つです。彼は大学から遠く離れた研究所にいる退屈というか淋しさというか…を慰めるべく「文通の腕を磨くため」と称し様々な相手に手紙を書きまくります。最終的にはいかなる女性も手紙一本で籠絡する技術を身に着けたいようですが、果たして-。
手紙を送り、受け取る人がいるということは届ける人もいるということで…そんな郵便配達の過程も物語の要素となっている『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』。アフリカにすむ退屈で仕方がないキリンは、これまた退屈すぎて郵便屋さんをはじめたペリカンに「地平線のむこうでさいしょにあった動物」に手紙を届けてもらうようお願いしました。さて、キリンの手紙はどのような動物に届いたのでしょうか。シリーズとして数冊でているのですが、キリンから始まった世界が手紙によって少しずつ広がっていくのも素敵。
配達された手紙がどこに届くのか、というと大抵の場合は郵便受けでしょうか。『てがみをください』のなかでは「ゆうびんばこ」と呼ばれ、ぼくとパパの作ったものがいちじくの木にかけられています。ある日、そのゆうびんばこにカエルが引っ越してきました。カエルが自分宛ての手紙が欲しというのでぼくは手紙がくる方法を教えてやりました。カエルは教わったとおりにしているのになぜだか手紙は届かず-。うーん、確かに教わったとおりにしてはいる、が、しかし…と思わずにはいられない切ないオチが後を引きます。 MCL編集部(綾)
三冊堂471(2020/09/24)