2024年 (令和6年)
11月24日(日)
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 祇園の料亭に育ち、幼いころから歌舞伎と関わった著者が師と仰ぐ演出家・武智鉄二は、若手歌舞伎役者と組み、実験的な「武智歌舞伎」を上演するなど芸能の世界において挑戦的であるとともに、世間を相手に闘い続ける反権力を志向したとされる演出家でした。著者は、晩年の武智と出会い、歌舞伎の演出に関わっていく中で、自らの殻を破り、他者との闘い方を学んでいくこととなります。『師父の遺言』には、自身の波瀾万丈の半生とともに、反骨の師であった武智の生き様が綴られています。

 佐々木友次さんは、先の大戦で、特攻兵として9回の出撃命令を受け、いずれも生還を果たしました。陸軍参謀に「必ず死んでこい」と言われながら、なぜ9度とも生還できたのか。当時21歳だった驚異の特攻兵は、2015年の北海道に生きていました!『不死身の特攻兵』は、著者による佐々木さんへのインタビューから、特攻は本当に志願だったのか。なぜ賛美されたのか。いわゆる”日本的組織”であった陸軍の理不尽な命令に戸惑い、翻弄されながらも、決して生きることを諦めなかった男の強さの源に迫っています。

 タイトルの『面従腹背』とは、表面は服従するように見せかけて、内心では反抗することを意味します。著者は、文部科学省の元事務次官ですが、加計学園問題を巡る発言で多くの国民にその名を知られることとなりました。のちに文部科学省における再就職等規制違反の責任をとる形で辞職しましたが、本書では、著者が文部省・文部科学省での38年の間に関わった教員免許更新制や八重山教科書問題などを通して、自身の面従腹背の日々を思い出すままに書き連ねています。 ⅯCL編集部(吾)

三冊堂401(2019/05/23)