2024年 (令和6年)
11月24日(日)
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 東京大学法学部を卒業後、メガバンクに就職し、エリートサラリーマンとして出世コースを歩んできた主人公・田代壮介。しかし、50歳を目前にして、突如出世コースからはずれてしまう。出向させられた子会社で、そのまま定年を迎えた壮介は、『終わった人』となった現実を受け止められない。そんなとき、ある人物との出会いが、彼の人生を大きく揺り動かす―。60代・・・終わった人だと思うには、まだ早い。ましてや、仕事一筋で働いてきた人には、自信も自負もある。今の自分は、正直まだ実感がわかない。けれど、他人事とは言っていられない年齢にさしかかっていることを自覚せずにはいられない。

 働けるうちは、働きたい―。かつては、定年を迎えると、第二の人生をのんびりと悠々自適に過ごす人が多かった。しかし、近頃の60歳は、老後というには早すぎるし、まだまだ元気。なってみないとわからないことも多い60代。『60代の生き方・働き方』では、60代を前向きに生活するための具体的なヒントとコツを、著者自身の体験も交えながら紹介する。
 まだ先のことだけれど、老後の“少し手前”にさしかかってきた著者が、どんなときに老いを意識して、どんな心づもりをしようとしたかを綴った『ちょっと早めの老い支度』。モノと収納の話や、住まいと家事、健康と食、お金と遺言・・・。自分に置き換えて考えられる日常的な問題に、今からできることを少しずつやってみようという気持ちになる。年をとったら、どうなるかわからないと捉えるよりも、今は今として、精一杯享受することが良きエイジングの基盤となるという著者の言葉が印象深く残る。 MCL編集部(ふ)

三冊堂292 (2017/04/20)