2024年 (令和6年)
11月23日(土)
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他の国のことばでは、そのニュアンスをうまく表現できないことばが世界には色々あるようです。『翻訳できない世界のことば』は、それぞれのお国柄がしのばれる、ひとことでは訳せない世界のユニークな単語とその意味が、優しいイラストと共に掲載されています。「FORELSKET」は、ノルウェー語で「語れないほど幸福な恋におちている」。「COMMUOVERE」はイタリア語で、「涙ぐむような物語にふれたとき、感動して胸が熱くなる」。日本語では「ボケッと」「木漏れ日」「積ん読」などが掲載されています。「木漏れ日」を「ポケッと」眺めるのは日本人だけなのでしょうか?

 「釘をさす」は、前もって勝手なことをしないように注意する場合に使い、事後には用いない。「いわく付き」は、何か好ましくない特別な事情が付随していることを意味するので、よい意味では使わないそうです。『知っているつもりで間違える慣用句100』は、慣用句を会話によるクイズ形式で掲載しています。会話形式になると、どの使い方も正しく感じられ、回答に迷ってしまいます。「体をなす」や「これ見よがし」などは、もしかしたら間違えて使っているかもしれません。楽しみながら、ちょっとした教養を身につけることができます。

 「正しい日本語を使うことよりも、お互い気持ちいいことが大切」と、日本語研究の大家である著者は言い、日本語の現在をやさしく解きほぐします。「“やばいっす”の“っす”は、“相手が少し目上の人に限って使っている”ということは、新しい敬語である」と新しい言葉・用法を分析し、“上等”“浮き沈み”などの懐かしい言葉や言い回しに思いをはせます。雑誌の連載をまとめた『金田一秀穂の心地よい日本語』は、「へぇ」と「クスッ」が満載の楽しい1冊です。 MCL編集部(紀)

三冊堂271 (2016/11/24)