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売ると貸す。立場は違えども、「本と読者をつなぐ場」という共通点がある書店・図書館の仕事を紹介した『書店・図書館で働く人たち』。本はどのようにして店頭に並ぶのか、図書館の本が借りられるようになるのは、どのような作業があるのかなど、店舗やカウンターでは見ることができないバックヤードの仕事を知ることができます。「本」がみなさんの手元に届くまでには、実にさまざまな物語があるのです。
図書館の仕事の中で最も重要なのは、地域に関わる資料や後世に残すべき書物を保存すること。忠類地区で偶然に発見された「ナウマン象」の情報は、どのような形状のものでも残していくべき財産です。似たような姿であれど、ナウマン象とは同系ではない象が主人公の絵本、『マンモスとくらすには』。マンモスと一緒に暮らすためには守るべき10の約束があるそうですが、その約束は意外や意外。マンモスをペットにするという発想がおもしろい絵本です。
上り下りする形態と機能はありながら、上った先には出入り口が無く、降りてくるしかない立派な階段。そういった、まるで展示するかのように美しく保存されている無用の長物を「トマソン」といい、その芸術上の概念は、美術家で作家の赤瀬川原平らの偶然の発見によって生まれました。『世の中は偶然に満ちている』は、赤瀬川原平が芥川賞受賞から晩年まで三十数年にわたりつけていた日記帳から、偶然と夢についての記録をあつめたもの。偶然に遭遇する著者の体質も然り、それを観察し、考察するからこそ新たなモノ・コトが生まれつながっていくのだと感じます。偶然は必然という言葉が、つと頭をよぎります。 MCL編集部(そ)
三冊堂249 (2016/06/23)