今年の大会は節目の20回目となる記念大会です。南米の小国ウルグアイで産声を上げた地球上最大のスポーツイベント、サッカー・ワールドカップ。1930年の第1回大会から94年の第15回大会までを豊富な写真やエピソードを交え、大会記録、集計記録などを収録した『ワールドカップ物語』。時には種々な政治の影がちらつき、経済的な側面が強調されたり、熱狂のあまり不幸な事件が起きたり・・・。しかし4年に1度、地球上の大多数の人々を魅了し尽くしてきたワールドカップ。これまでの大会を再確認すると、試合の見方も広がるのではないでしょうか。日本代表は、1998年の第16回フランス大会に初出場し、今年のブラジル大会まで5大会連続5度目の本大会出場です。
1996年、アトランタオリンピック男子サッカー競技。日本代表がグループリーグ第1戦で、優勝候補筆頭であったブラジルを破った(マイアミの奇跡)。しかも、ワールドカップ優勝メンバーを3人揃えたブラジルを。メキシコ大会以来、28年ぶりのオリンピック出場を果たし、チーム内外にいくつもの「断層」を抱えながら史上空前の快挙をなし遂げた日本サッカー。マスコミに持ち上げられて自分を見失うメンバー、オフェンス陣とディフェンス陣の間にできた溝、初めて世間から注目されストレスを抱える監督、テレビでは知ることのできない出来事と人間関係が『28年目のハーフタイム』に起こります。このマイアミの奇跡を詳細に調査し、多くの人物にインタビューを重ねて、非常にリアリティ溢れる形でまとめられた一冊です。そして、このアトランタ世代の闘いは、ワールドカップフランス大会へと続いていきます。
浦和レッズからヴォルフスブルク、ニュルンベルクで活躍する長谷部誠。突出したテクニックを持っているわけではないが、あらゆる指揮官に重宝される日本代表の中心人物です。2010年から日本代表のキャプテンを任されています。心はよく「鍛える」「磨く」などと表現されますが、長谷部誠は違う。『心を整える』のだ。生活のリズム、睡眠、食事、そして、練習。日々の生活から、心に有害なことをしないように、少しでも乱れたら自分で整える。誰もが実践できるメンタル術を綴っています。「いかなる時も安定した心を備えることが、常に力と結果を出せる秘訣だ。自分自身に打ち勝てない人間が、ピッチで勝てるわけがない。」日本代表は予選リーググループC。心を整えて応援しましょう。 MCL編集部 (敬昌)
三冊堂144号 (2014/06/19)