2024年 (令和6年)
3月28日(木)
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真っ赤なハイビスカス、ブーゲンビレア、砂漠のバラ、ゼラニウム。赤と黄色のツートンカラーでオウムの様な花を咲かせているインパチェンス・コンゴレンシンスは特に南国の雰囲気が漂う。昨日はくちなしの白い花が一輪咲き、よい香りを放っている。ここは北国・幕別町。挙げた花名は3月18日現在、自宅の居間で咲いている冬の期間に庭から鉢上げされたものの一部。さて、下の写真は何の実かお分かりでしょうか?

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 高さ110cmの低木に、直径1.5cmの実が15粒。

正解はコーヒーの実。コーヒーノキ(アカネ科)の実は、サクランボに似ていることからコーヒーチェリーとも呼ばれ、実の中の種子を焙煎したものがあの飲むコーヒーの原料となる。去年父が育て始め、初めて実を間近で見たので、自宅で普段1杯程度飲むインスタントコーヒーと赤い実がすぐには結びつかない。しかもコーヒー豆はブラジル、コロンビアなど赤道付近で栽培されているイメージのため、冬に幕別でお目にかかれるとは…。

日本で一番寒い町として十勝の陸別町が有名だが、では十勝で二番目に寒い地点はどこか?という素朴な疑問と回答が先ごろ十勝毎日新聞に掲載された。対象は気象庁がデータ公表し、気温の観測を行っている管内19地点で、一定期間の最低気温を独自にランキング化したもの。記事によると、2015年12月1日~2016年1月14日の今季シーズンでは、寒さランキング1位陸別町、2位幕別町糠内、3位とかち帯広空港という結果であった。(十勝毎日新聞、2016年1月15日)

幕別町が寒い事を忘れるほど、外が-20℃台になる北海道の屋内は暖房設備が整っており暖かい。冬でも屋内で南国を思わせる花々が咲き乱れるはずである。「コーヒーの実は食べられる」とあるので試しにかじってみる。が、時期が違ったのか味はサクランボのようではなくほろ苦い。続いて試しに3粒だけ種子を天日干しする。見た目はコーヒー豆(生豆)となった。しかし、3粒ではコーヒーを淹れるまでには届かないので「ほぉ、本当にコーヒーだ」と幕別産コーヒー豆を眺めて満足する。

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 たまには本に倣い、落として淹れてみる。 

何でも美味しいと感じる私(味音痴)でも分かるほど、自分で淹れるものとは香りも味も全然異なる美味しいコーヒーが飲める喫茶店がある。管内の田園風景が広がる場所にある素敵なお店で、去年の年末間近に友人と行ったきり。コーヒーの実を見てあの香りを思い出し、久しぶりに行ってみるも残念ながらお休み。年末から雪解けまでお休みするという趣旨の大らかで雪国らしい張り紙が貼られていた。本日の幕別の最低気温は-0.7℃。近頃は雪解けも進み、福寿草を見かけたのでそろそろ開店時期かなとわくわくしている。

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 幕別町図書館前の林にて。(2016年3月18日撮影)

文/まぶさ(雪の下こけし)

参考資料:
・『十勝毎日新聞 2016年1月15日』(十勝毎日新聞社)
・『コーノ式かなざわ珈琲』(金澤政幸・著/大和書房/2009)
・『園芸植物 鉢花と観葉植物』
 (長岡求・小笠原誓・解説/小学館/1997)
・『SUPER PREMIUM MAGAZINE SERAI サライ 2016年3月号』
 (小学館)
・『日最低気温一覧表(気象庁ホームページより参照)』
  ※2016年3月20日10時00分現在、北海道十勝地方糠内地点 
 http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/mdrr/tem_rct/alltable/mntemsad00.html#a20