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2026年3月3日、漫画家のつげ義春さんが88歳で永眠されました。
つげ義春と美術史家・明治学院大学教授の山下祐二による4時間にも及ぶインタビューや代表作『ねじ式』などの原画を収録した『つげ義春 夢と旅の世界』。インタビューの中の“どんな芸術でも最終的に意味を排除するのが目標だと思っている”という言葉に、分からないけどなんかいい、と感じるつげ義春の奇想な世界観の渦にいよいよ巻き込まれた心地になります。
大のカメラコレクターとして知られ、一時期は250台ものカメラを収集していたと言われている、つげ義春。旅で撮影した写真は、その土地の生活と風景がありありと写し出され、泣きたくなるような郷愁に包まれます。カメラ初心者のガズトくんとカメラ指南をする謎の人物・ロバートが、写真で表現したい感情について交し合う『カメラは、撮る人を写しているんだ。』。いいポートレートとは、自分が写っていることなのだそうです。それは芸術全般に言えることなのかもしれないと、うっすら思いました。
つげ義春の『無能の人』は、俳優の竹中直人が監督として映画化しました。街を華やかに飾った手描きの映画絵看板の歴史を写真とともに紐解く『昭和の映画絵看板』。「キングコング対ゴジラ」の絵看板は、写真でも迫力があったことが見て取れ、多種多様な絵看板に感嘆します。もし、絵看板の最盛期につげ義春の『無能の人』が上演されるとしたら、どんな絵看板になるのか?そんな妄想をしてしまいました。 MCL編集部(そ)
三冊堂758(2026/04/02)


