2025年 (令和7年)
5月18日(日)
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 劇作家の井上ひさしが読書について語る『本の枕草紙』。書物は化けて出る、図書館と線引き法、本の運命など、目次には、はっとさせられるコトバが並んでいます。星新一の「ショートショート」を漫然と読む人は損をしていて、注意深く考えて読むほど、結末のどんでん返しに強い衝撃を受ける。つまりは、読むというエネルギーを投下するほど、結末の爽快感の度合いが違いが出ると述べています。

 前述の本で、井上さんは、ベストセラーと専門書の間にある本が読者がよろこぶものなのではないかと推察しています。日本独自の流通システム、活字離れ問題、電子書籍、出版界から読者まで、本にまつわることを大局的な視点から捉え解説する『本が売れないというけれど』。ベストセラーと言われる本でも以前と比べ初版部数は減少していて、本が読者に届くまでのシステムを再構築する必要があると、熱く語りかけます。
 人生五十年を経験して社会を少し知ると、ものごとを表面的に見るのではなく根源的に知りたくなった―。五十歳を過ぎてから勉強をしたくなったという著者が、なぜ人は学ぶのかを平易な文で明かす『生きることは学ぶこと』。人類の叡知の結集である本は、ものごとの一面しかとらえていないこともある。だから、本と実学(経験など)を合わせることではじめて、自分の血肉となる。本を取り巻く状況は、今や深刻になりつつあります。それでも、生きるためには本の力が欠かせないと思うのです。 MCL編集部(そ)

三冊堂711(2025/05/08)


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