2024年 (令和6年)
7月16日(火)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 老舗ホテルに勤務する実直なホテルマン・続力(つづき ちから)と、ホテルの宛名書きを請け負う書家の遠田薫。続は、奔放な遠田に振りまわされるうちに、気がつくと、手紙の代筆を手伝うはめになり…。著者お得意の異なる二人のバディもの。続と遠田のやりとりがなんともいい。墨の黒と画仙紙の白の世界に惹き込まれる『墨のゆらめき』。遠田の飼い猫である白の黒ぶちネコ・カネコも良いアクセント。

 両親を事故で亡くし、深い喪失から抜け出せずにいる大学生・青山霜介は、水墨画の巨匠・篠田湖山との出会いにより、水墨画の道へと進みだす。墨と水と筆だけで描く水墨画。シンプルだが一発勝負で描く世界に惹き込まれる。水墨画家である著者だからこそ描ける臨場感あふれる描写に息をのむ。水墨画を通して、再生していく霜介の姿が胸を打つ『線は、僕を描く』。
 2016年に逝去した井上洋介氏が遺した最後の絵本『ホウホウフクロウ』。闇夜に飛び回るフクロウやミミズクたちを、ダイナミックに、のびのびと描いた水墨画の絵本。その圧倒的な存在感に、作者の姿を重ねる。 MCL編集部(ふ)

三冊堂668(2024/07/11)