2024年 (令和6年)
11月24日(日)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 旅することが容易に叶わない昨今、薄っすらとではありますが、本を開くことで旅する気分を味わうことができます。アメリカ金融業の歴史を作った実業家で、桁外れの稀覯本(きこうぼん)と美術品を収集したコレクターとしても知られる、ジョン・ピアモント・モーガンが建てたモーガン図書館&美術館は、写真でも分かるほど重厚で多角的な側面からの歴史を感じます。ルノワールとセザンヌだけでも250点を収蔵するバーンズ財団など、個人の邸宅を美術館として公開する15の「邸宅美術館」を紹介する『邸宅美術館の誘惑』。それぞれの館のまばゆいコレクションに魅せられます。

 今や、図書館・書店巡りが観光の目的になっています。「世界旅行へと誘う書店」として紹介されるのは、ロンドンの「ドーント・ブックス」。中東やアフリカも含めた、ありとあらゆる地域の本が豊かにそろえ国別に並べた本棚がユニークなのだそうです。代官山蔦屋書店など惹きつけられる書店をピックアップした『世界で最も美しい書店』。古き良き時代を感じるもの。現代的でスタイリッシュなもの。どちらも心躍るのは間違いありません。
 照明が無い打ち放しコンクリートの空間に射す自然光と、その光によって生まれる影。古民家の外観を残したまま現代アートを展示する「ANDO MUSEUM」を安藤忠雄のスケッチも交えながら解説する『TADAO ANDO at NAOSHIMA』。洋書ではありますが、図版だけでも美術館の片鱗を知ることができます。表の見返しを捲ったときの衝動は、当館にあるこの本でしか体感できません。 MCL編集部(そ)

三冊堂467(2020/08/27)