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近現代の名作から学生の投稿歌まで、テーマごとに気になる短歌を集めて、人気歌人である著者が、あれこれまとめた『ぼくの短歌ノート』。「身も蓋もない歌」や「賞味期限の歌」などの思いもよらないテーマで、選びぬかれた短歌も面白いが、著者ならではの視点で加えられた講評がまた良い。興味深かったのは、世の中には、たくさんのモノが存在するが、短歌に詠われる頻度には大差があるということ。高級鮨屋で食べる鮨の歌はほとんどないのに対して、コンビニやスーパーの鮨の歌は多い。という具合に…。短歌って、面白い!!と、短歌の魅力が存分に伝わる短歌エッセイ。
『青春は燃えるゴミではありません』。今、この時にしか詠むことのできないうたがある-。恋愛や、友人関係、将来への不安…。それぞれの道を目指して、別々に歩みを始めるとき。高校生活最後の夏、大人と子どものはざまで揺れ動く「うた部」の高校生たちが、短歌甲子園を目指して、今の想いを短歌に込める。
立春、雨水、啓蟄…と、二十四節気にあわせた短歌と、富士山をモチーフにしたイラストからなる『富士山うたごよみ』。グラフィックデザイナーのU・G・サトーさんの斬新でユーモア溢れる富士山と、俵万智さんの小気味よい言葉が相まって、頁を繰るのが楽しくなる。二十四節気でいうと、今頃は小満。植物にとって、とても気持ちのいい季節だそう。小満の頁を開くと、清々しい富士山が目に飛び込んでくる。そこに添えられた短歌をよむと、くよくよした気分になることもあるけど、そんなことはたいしたことじゃないさと思えてくる。心が晴れやかな気持ちになる一冊。 MCL編集部(ふ)
三冊堂349 (2018/05/24)