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7月19日から開催される「札幌国際芸術祭2014」では、アートに関する多様なプログラムに参加できたり、アーティストの作品を見ることができます。なかでも、室蘭市出身の写真家・掛川源一郎のトーク&レクチャーは興味深いものがあります。ドキュメンタリー写真の世界で活躍した写真家・長野重一の『この国の記憶』は、東京都写真美術館で2000年に開催された展覧会の作品を収めた写真集。主に昭和20~40年代の日本の姿が映し出され、北海道では入植のために土地を開墾しているとき、その頃の東京では高速道路が建設されていることに、これまでの時代の流れを垣間見たような気がします。
東京都写真美術館が監修した『写真の歴史入門第2部「創造」』は、東京都写真美術館が所蔵する貴重な作品とともに写真の歴史を綴った、いわば写真史のガイドブック。歴史のみならず、写真に関するさまざまなことを知ることができます。今から約160年前、写真は「記憶を持った鏡」と呼ばれ、芸術として確立するまでには大きな論争がありました。写真の芸術性を主張するために手本としたのは絵画で、写真と絵画は密接な関係があります。絵本作家・安野光雄の『絵のある人生』では、絵画における遠近法の説明などで写真についても触れています。絵画の歴史や見方など優しく語りかけるような絵画の解説と、「絵と一緒に生きてきてよかったな」と言う著者のこれまでの体験の記録に、絵画の見方が変ります。 MCL編集部 (そ)
三冊堂148号 (2014/07/17)