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アフォリズム(aphorism)とは、物事の真実を簡潔に鋭く表現した語句、警句、金言、箴言(しんげん)のこと。箴言は、いましめの言葉、格言、金言を意味する漢語的表現。
『アフォリズム 525の格言集』は、オスカー・ワイルド、ヘミングウェイ、ウディ・アレン、コクトー、ボブ・ディラン、ニーチェ、カミュ、ブコウスキー、モハメド・アリ、パリス・ヒルトンなどなど、怒涛の箴言集だ。たとえばオスカー・ワイルドは「オレ達はみんなドブの中にいる。でもそこから星を眺めているヤツだっているんだ」という。知人が経営する会社の社是には「未来は過去の泥の中に埋まってる」とあった。
『孤独の愉しみ方』の副題は「森の生活者ソローの叡智」。便利な暮らしに距離を置くと、ドロップアウト、世捨人、変人と見られがちだが、傾聴すべき言葉がある。便利さばかり追い求めていると失うものがある。生活の中に一つだけ不便を残して、そこからさまざまなことに思いをめぐらせてみると、見えなかったもの、見ようとしてこなかったものが見えてくる。
『土は土である』の著者は、道内の農業試験場で土壌肥沃度と作物生産の研究を続けてきた人だ。序文に、「土を敬愛するあまりに”土は生きている”という人がいるかと思えば、土のない宇宙ステーションでも人が暮らせると考える人もいる。これらは、土を過大にあるいは過少に評価していると思う」とある。『街場の読書論』(内田樹 太田出版/2012.4)には「本は本である」とある。うーん、どちらもタイトルの意味するところが深い。 (な)
三冊堂131号 (2014/03/06)