ノーベル賞作家によるＳＦ

　宇宙からの警告の日。1986年、スペースシャトル・チャレンジャー号打ち上げによる事故が発生。大江健三郎は『治療塔』の中でこの事故を「宇宙意志からの警告」と表現しました。

　この『治療塔』では戦争等により地球が荒廃。「新しい地球」を目指し「選ばれし者」が宇宙を目指します。残された人々、いわば「落ちこぼれ」達はそれでもコツコツと社会を立て直して生活してきました。しかし10年後、その「選ばれた」人々は地球に帰還してきたのです。主人公であるリッチャンは帰還した朔ちゃんと再会しますが、彼は旅立った時とほぼ変わらず－。当館では『日本文学全集22』にてお読みいただけます。この巻には大江健三郎の３作品の他、編者の池澤夏樹による解説も収めされています。全536p読み応えばっちりです。　ＭＣＬ編集部（綾）

今日の一冊4052（2024/1/28）