2024年 (令和6年)
4月25日(木)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 親、愛する人、共に歩んだ親友、そして自分自身の「死」との対峙を描いた8編の短編集。今歩いているこの道の果てに「死」があるのだ、という事実を深く実感した人たちの『終の日までの』物語。「死」は特別扱いすることなく、自分の死も他人の死も、長い人生の1ページにすぎない。生きている今、何をすべきか。前向きに生きるその先に、救いの光が見えてくる。

 何が変わってしまったというのだろう。言葉は失われた、記憶も、知性の大部分も。けれど、長い結婚生活の中で二人の間に常に、あるときは強く、あるときはさほど強くもなかったかもしれないけれども、確かに存在した何かと同じものでもって、夫は妻とコミュニケーションを保っている。『長いお別れ』は、二人住まいの老夫婦に娘が三人。認知症を患った父と右往左往する家族の姿を通じて、終末のひとつの幸福を描き出す。最後に、アメリカで暮らす長女の息子が、中学校の校長先生との会話の中で、祖父が亡くなったことと思い出を語る。
 死を迎えることは、今生の自分に決着をつけること。性根を据えて自分の死と向き合わねばならないと考えたとき、自然と頭に浮かんでくるのが『「始末」ということ』。どのように自分の死を迎えるか。そのためにどんなことを覚悟すべきか。日本人の死生観や葬送のあり方から、自らのモノの始末、こころの始末まで、宗教学の第一人者が語る「いのち」の締めくくり方、「終活」の提言。 MCL編集部(敬昌)

三冊堂276 (2016/12/29)